古今和歌集 巻第十四 恋歌四 705番
數々に
あれこれと、私を思ってくださるのか、思ってくださらないのか、お尋ねしにくいので、我が身のほどを知らせる雨は、ますます降りまさっています。
場面イラスト(準備中)
- 1藤原藤原ふじわら敏行敏行としゆきののの朝臣朝臣あそんののの業平業平なりいらののの朝臣朝臣あそんののの家家いえなりけるなりけるなりける女女おんなをををあひあひあい知知しりてりてりて文文ふみ遣遣おこせりけるせりけるせりける言葉言葉ことばににに今今いままうでくまうでくもうでく雨雨あめののの降降ふりけるりけるりけるをををなむみわづらひなむみわづらひなむみわずらい侍侍はべるといへりけるるといへりけるるといえりけるををを聞聞ききてかのきてかのきてかの女女おんなにかはりてよめりけるにかはりてよめりけるにかわりてよめりける詞書
- 2數々數々かずかずににに初句
- 3思思おもひおもひおもいおもははわずずず二句
- 4とととひがたみひがたみいがたみ三句
- 5身身みをををしるしるしる雨雨あめははは四句
- 6ふりぞまされるふりぞまされるふりぞまされる結句
現代語訳
〔詞書〕藤原敏行朝臣が、業平朝臣の家にいた女性と知り合って、手紙をよこした中に「今すぐ参りますが、雨が降っているので困っています」と言ってきたのを聞いて、その女に代わって詠んだ歌。
あれこれと、私を思ってくださるのか、思ってくださらないのか、お尋ねしにくいので、我が身のほどを知らせる雨は、ますます降りまさっています。
意訳
雨を口実に来ない男に、その雨は自分の身の程を知らせる涙の雨だ、と女に代わって恨む。
語釈・文法注
- 数々に
- あれこれと。
- 身をしる雨
- 我が身の程を思い知らせる雨。涙をかける。
和歌
- 作者
- 在原業平(ありわらのなりひら) 825–880
平城天皇の皇子阿保親王の子。右近衛権中将などを務め、「在五中将」と呼ばれた。仮名序は「その心餘りて詞たらず」と評する。『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。六歌仙・三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十四・恋歌四・705番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「藤原敏行の朝臣の業平の朝臣の家なりける女をあひ知りて文遣せりける言葉に今まうでく雨の降りけるをなむみわづらひ侍るといへりけるを聞きてかの女にかはりてよめりける」(藤原敏行朝臣が、業平朝臣の家にいた女性と知り合って、手紙をよこした中に「今すぐ参りますが、雨が降っているので困っています」と言ってきたのを聞いて、その女に代わって詠んだ歌)。
解説
在原業平の代作。『伊勢物語』第百七段にも見える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、125頁(コマ76)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日