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今鏡 第十「うちぎき」 第80章

作り物語の行方

今鏡の結び。ある人が、紫式部は源氏物語という作り話を書いた罪で地獄に堕ちたと言われるのを嘆くと、語り手の老女は、物語は人の心を導くもので妄語ではなく、仏も譬喩で法を説いたと弁護する。供の童が反論すると、老女は源氏物語が人に無常を悟らせ仏道へ導く功徳を説く。日が暮れて老女と別れた筆者は、再び会えなかったことを悔やむ。

  1. 1又また又またまたありしありしありし人ひと人ひとひとののの、、、「「「誠まこと誠まことまことにやにやにや。。。むかしのむかしのむかしの人ひと人ひとひとののの作つく作つくつくりりり給たま給たまたまへるへるえる源氏げんじ源氏げんじげんじののの物語ものがたり物語ものがたりものがたりににに、、、さのみかたもなきことのさのみかたもなきことのさのみかたもなきことの、、、なよびなよびなよび艶えん艶えんえんなるなるなるををを、、、草ぐさ草ぐさぐさかきあつめかきあつめかきあつめ給たま給たまたまへるによりてへるによりてえるによりて、、、ののの世よ世よよのけぶりとのみのけぶりとのみのけぶりとのみ、、、消き消ききえたまふこそえたまふこそえたまうこそ、、、えんにえならぬつまなれどもえんにえならぬつまなれどもえんにえならぬつまなれども、、、あぢきなくあぢきなくあじきなく、、、とぶらひとぶらひとぶらい聞き聞ききこえまほしくこえまほしくこえまほしく」」」。。。
  2. 2などいへばなどいへばなどいえば、、、返事かへりごと返事かへりごとかえりごとにににははは、、、「「「誠まこと誠まことまことににに世よ世よよののの中なか中なかなかにににははは、、、かくのみかくのみかくのみ申まう申まうもうししし侍はべ侍はべはべれどれどれど、、、理ことわ理ことわことわりりり知し知ししりたるりたるりたる人ひと人ひとひとののの侍はべ侍はべはべりしりしりしははは、、、やまとにもやまとにもやまとにも、、、もろこしにももろこしにももろこしにも、、、ふみつくりふみつくりふみつくり、、、人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころをををゆるかしゆるかしゆるかし、、、暗くら暗くらくらききき心こころ心こころこころををを導みちび導みちびみちびくくくははは、、、常つね常つねつねのことなりのことなりのことなり。。。などいふべきになどいふべきになどいうべきにはははあらずあらずあらず。。。わがわがわが身み身みみになきことになきことになきことをををありありあり顏がほ顏がほがおににに、、、げに〳〵といひてげに〳〵といひてげにけにといいて、、、人ひと人ひとひとにわろきみにわろきみにわろきみををを、、、よしとよしとよしと思おも思おもおもはせなどするこそはせなどするこそわせなどするこそ、、、そらごとなどそらごとなどそらごとなどはははいひていひていいて、、、罪つみ罪つみつみうるうるうる事こと事ことことにてにてにてはははあれあれあれ。。。これこれこれはははあらましごとなどやあらましごとなどやあらましごとなどや、、、いふべからんいふべからんいうべからん。。。ともともとも、、、などなどなどはははいふともいふともいうとも、、、さまでさまでさまで深ふか深ふかふかききき罪つみ罪つみつみにににははは、、、あらずやあらんあらずやあらんあらずやあらん。。。生い生いいきとしいけるきとしいけるきとしいける者もの者ものものののの命いのち命いのちいのちををを失うしな失うしなうしなひひい、、、あるとしあるあるとしあるあるとしある人ひと人ひとひとののの、、、寳ぼう寳ぼうぼうををを奪うば奪うばうばひとりなどするひとりなどするいとりなどする、、、深ふか深ふかふかききき罪つみ罪つみつみあるもあるもあるも、、、ののの底そこ底そこそこににに沈しづ沈しづしずむらめどもむらめどもむらめども、、、いかなるいかなるいかなる報むく報むくむくいありなどいありなどいありなど聞き聞ききこゆるこゆるこゆる事こと事ことこともなきにもなきにもなきに、、、これこれこれははは却かへ却かへかえりてりてりて、、、怪あや怪あやあやしくもおぼゆべきしくもおぼゆべきしくもおぼゆべき事こと事ことことなるべしなるべしなるべし。。。人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころつけんことつけんことつけんことははは、、、功德くどく功德くどくくどくとこそなるべけれとこそなるべけれとこそなるべけれ。。。なさけなさけなさけをををかけかけかけ、、、艶えん艶えんえんならんによりてならんによりてならんによりてははは、、、ののの業わざ業わざわざとととはははなるともなるともなるとも、、、奈落ならく奈落ならくならくににに沈しづ沈しづしずむむむ程ほど程ほどほどのことやのことやのことやははは侍はべ侍はべはべらんらんらん。。。此こ此ここののの世よ世よよのことだにのことだにのことだに、、、知し知ししりがたくりがたくりがたくはべれどはべれどはべれど、、、もろこしにもろこしにもろこしに、、、白樂天はくらくてん白樂天はくらくてんはくらくてんととと申まう申まうもうしたるしたるしたる人ひと人ひとひとははは、、、なゝそぢのなゝそぢのななそじの、、、卷物まきもの卷物まきものまきものをををつくりてつくりてつくりて、、、詞ことば詞ことばことばをををいろへいろへいろえ、、、たとへたとへたとえをををとりてとりてとりて人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころををを進すゝ進すゝすすめめめ給たま給たまたまふなどきこえたまふもふなどきこえたまふもうなどきこえたまうも、、、ののの化身けしん化身けしんけしんとこそとこそとこそははは申まう申まうもうすめれすめれすめれ。。。佛ほとけ佛ほとけほとけもももなどいひてなどいひてなどいいて、、、なきなきなき事こと事ことことををを作つく作つくつくりりり出い出いいだしだしだし給たま給たまたまひてひていて、、、說と說とときおききおききおき給たま給たまたまへるへるえるははは、、、虛妄こまう虛妄こまうこもうならずとこそならずとこそならずとこそははは侍はべ侍はべはべるなれるなれるなれ。。。女をんな女をんなおんなののの御身おほんみ御身おほんみおおんみにてにてにて、、、さばかりのことさばかりのことさばかりのことををを、、、作つく作つくつくりりり給たま給たまたまへるへるえるははは、、、たゞたゞただ人ひと人ひとひとにににはははおはせぬやうもやおはせぬやうもやおわせぬようもや侍はべ侍はべはべらんらんらん。。。などなどなど申まう申まうもうすすす、、、やんごとなきやんごとなきやんごとなきひじりたちのひじりたちのひじりたちの、、、女をんな女をんなおんなになりになりになり給たま給たまたまひてひていて、、、法ほふ法ほふほうををを說と說とときてこそきてこそきてこそ、、、人ひと人ひとひとををを導みちび導みちびみちびききき給たま給たまたまふなれふなれうなれ」」」。。。
  3. 3といへばといへばといえば、、、供とも供ともともににに具ぐ具ぐぐしたるしたるしたる、、、わらわらわらはははののの聞き聞きききていふやうきていふやうきていうよう、、、「「「女をんな女をんなおんなになりてになりてになりて、、、導みちび導みちびみちびきたまふこときたまふこときたまうことははは、、、ののの、、、みかどみかどみかどををを導みちび導みちびみちびきてきてきて、、、佛ほとけ佛ほとけほとけのみもとにすゝめなどしのみもとにすゝめなどしのみもとにすすめなどし給たま給たまたまひひい、、、ののの、、、親おや親おやおやにににふみかはしてふみかはしてふみかわして、、、佛ほとけ佛ほとけほとけをををほめほめほめ奉たてまつ奉たてまつたてまつりてりてりて、、、世よ世よよののの末すゑ末すゑすえまでもまでもまでも、、、傳つた傳つたつたへなどしへなどしえなどし給たま給たまたまふこそふこそうこそ、、、ののの示現じげん示現じげんじげんなどもおぼえめなどもおぼえめなどもおぼえめ。。。これこれこれはははをとこをとこおとこ女をんな女をんなおんなののの、、、えんなることえんなることえんなることををを、、、げに〳〵とかきあつめてげに〳〵とかきあつめてげにけにとかきあつめて、、、人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころにしめさせんにしめさせんにしめさせん、、、なさけなさけなさけをををのみのみのみ盡つく盡つくつくさんことさんことさんことははは、、、いかゞいかゞいかがははは、、、尊たふと尊たふととうときみのりともきみのりともきみのりとも思おも思おもおもふべきふべきうべき」」」。。。
  4. 4といへばといへばといえば、、、「「「誠まこと誠まことまことににに然しか然しかしかはははあれどもあれどもあれども、、、事こと事ことことざまのなべてならぬざまのなべてならぬざまのなべてならぬ、、、めでたさのめでたさのめでたさの餘あま餘あまあまりにりにりに、、、思おも思おもおもひつゞけひつゞけいつづけ侍はべ侍はべはべればればれば、、、物語ものがたり物語ものがたりものがたりなどいひてなどいひてなどいいて、、、ひとひとひと卷ま卷ままふたふたふた卷くわん卷くわんかんのののふみにもあらずふみにもあらずふみにもあらず、、、六十ろくじふ六十ろくじふろくじゅう帖でふ帖でふじょうなどまでなどまでなどまで作つく作つくつくりりり給たま給たまたまへるへるえるふみのふみのふみの、、、少すこ少すこすこしあだにかたほなることもなくてしあだにかたほなることもなくてしあだにかたおなることもなくて、、、今いま今いまいまももも昔むかし昔むかしむかしももも、、、めでもてあそびめでもてあそびめでもてあそび、、、みかどきさきよりみかどきさきよりみかどきさきよりはじめてはじめてはじめて、、、えならずかきもちえならずかきもちえならずかきもち給たま給たまたまひてひていて、、、御おん御おんおん寶ほう寶ほうほう物もの物ものものとしとしとし給たま給たまたまひなどするもひなどするもいなどするも、、、世よ世よよにたぐひなくにたぐひなくにたぐいなく。。。またまたまた罪つみ罪つみつみふかくおはするとふかくおはするとふかくおわすると、、、世よ世よよににに申まう申まうもうしあへるにつけてもしあへるにつけてもしあえるにつけても、、、なか〳〵あやしくなか〳〵あやしくなかなかあやしく、、、おぼえてこそおぼえてこそおぼえてこそ申まう申まうもうししし侍はべ侍はべはべれれれ。。。罪つみ罪つみつみ深ふか深ふかふかきさまきさまきさまをもをもをもしめしてしめしてしめして、、、人ひと人ひとひとににに佛ほとけ佛ほとけほとけのみなのみなのみなをもをもをも唱とな唱となとなへさせへさせえさせ、、、とぶらひとぶらひとぶらい聞き聞ききこえんこえんこえん人ひと人ひとひとののの爲ため爲ためためににに、、、導みちび導みちびみちびききき給たま給たまたまふふうはははしとなりぬべくしとなりぬべくしとなりぬべく、、、なさけあるなさけあるなさけある心こころ心こころこころばへばへばえをををしらせてしらせてしらせて、、、うきうきうき世よ世よよにしづまんにしづまんにしずまんをもをもをも、、、よきよきよき道みち道みちみちににに、、、引ひ引ひひきいれてきいれてきいれて、、、世よ世よよのののはははかなきかなきかなき事こと事ことことををを見み見みみせてせてせて、、、あしきあしきあしき道みち道みちみちををを出い出いいだしてだしてだして、、、佛ほとけ佛ほとけほとけののの道みち道みちみちにすゝむにすゝむにすすむ方かた方かたかたももも、、、なかるべきにあらずなかるべきにあらずなかるべきにあらず。。。其そ其そそののの有樣ありさま有樣ありさまありさま思おも思おもおもひつゞけひつゞけいつづけ侍はべ侍はべはべるにるにるに、、、あるあるあるははは別わか別わかわかれれれをををいたみていたみていたみて、、、ののの戒かい戒かいかいをををたもちたもちたもち、、、あるあるあるははは女をんな女をんなおんなのいさぎよきのいさぎよきのいさぎよき道みち道みちみちををを守まも守まもまもりてりてりて、、、いさめごとにいさめごとにいさめごとに違たが違たがたがはずはずわず、、、このこのこの世よ世よよををを過す過すすぐしなどしぐしなどしぐしなどし給たま給たまたまへるもへるもえるも、、、人ひと人ひとひとののの見み見みみならふならふならう心こころ心こころこころもあるべしもあるべしもあるべし。。。又また又またまたみかどのみかどのみかどの覺おぼ覺おぼおぼえかぎりなくてえかぎりなくてえかぎりなくて、、、えならぬえならぬえならぬ宿世すくせ宿世すくせすくせおはすれどもおはすれどもおわすれども、、、夢ゆめ夢ゆめゆめまぼろしのまぼろしのまぼろしの如ごと如ごとごとくにてくにてくにて、、、かくれかくれかくれ給たま給たまたまへるなどへるなどえるなど、、、世よ世よよのののはははかなきかなきかなき事こと事ことことををを、、、見み見みみんんん人ひと人ひとひと思おも思おもおもひしりぬべしひしりぬべしいしりぬべし。。。又また又またまたみかどのみかどのみかどの位くらゐ位くらゐくらいをををすてゝすてゝすてて、、、おとうとにおとうとにおとうとに讓ゆづ讓ゆづゆずりりり給たま給たまたまひてひていて、、、ののの麓ふもと麓ふもとふもとににに、、、住す住すすみみみ給たま給たまたまふなどもふなどもうなども、、、佛ほとけ佛ほとけほとけののの道みち道みちみちににに入い入いいりたまふりたまふりたまう、、、深ふか深ふかふかきみのりにもきみのりにもきみのりにも、、、かよふかよふかよう御有樣おほんありさま御有樣おほんありさまおおんありさまなりなりなり。。。ににに說と說ととかれかれかれ給たま給たまたまへるへるえる、、、昔むかし昔むかしむかしのみかどののみかどののみかどの御有樣おほんありさま御有樣おほんありさまおおんありさまももも、、、思おも思おもおもひひい出い出いいでられさせたまふでられさせたまふでられさせたまう。。。ひとへにひとへにひとえに、、、をとこをとこおとこ女をんな女をんなおんなのことのみやのことのみやのことのみやははは侍はべ侍はべはべるるる。。。おおおほかたほかたほかたははは、、、智惠ちゑ智惠ちゑちえをををはははなれてなれてなれてははは、、、闇やみ闇やみやみにまどへるにまどへるにまどえる心こころ心こころこころをををひるがへすひるがへすひるがえす道みち道みちみちなしなしなし。。。惑まど惑まどまどひのひのいの深ふか深ふかふかきによりてきによりてきによりて、、、うきうきうき世よ世よよののの海うみ海うみうみのそこひなきにのそこひなきにのそこいなきにははは、、、たゞよふわざなりとぞたゞよふわざなりとぞただようわざなりとぞ、、、のつくりのつくりのつくり給たま給たまたまへるへるえる、、、文ふみ文ふみふみのののはじめつはじめつはじめつ方かた方かたかたにもにもにも、、、のたまはすなればのたまはすなればのたまわすなれば、、、ものゝものゝものの心こころ心こころこころををを辨べん辨べんべんへへへ、、、悟さと悟さとさとりのりのりの道みち道みちみちにむかひてにむかひてにむかいて、、、佛ほとけ佛ほとけほとけのみのりのみのりのみのりををを廣ひろ廣ひろひろむるたねとしてむるたねとしてむるたねとして、、、あらきことばもあらきことばもあらきことばも、、、なよびたるなよびたるなよびたる詞ことば詞ことばことばももも、、、とかにもとかにもとかにも、、、かへしいれんかへしいれんかえしいれんははは、、、佛ほとけ佛ほとけほとけののの御志おほんこころざし御志おほんこころざしおおんこころざしなるべしなるべしなるべし。。。かくかくかくははは申まう申まうもうせどもせどもせども、、、濁にご濁にごにごりにしまぬりにしまぬりにしまぬ、、、法のり法のりのりのみことならねばのみことならねばのみことならねば、、、露霜つゆしも露霜つゆしもつゆしもととと、、、むすびおきむすびおきむすびおき給たま給たまたまへるへるえる、、、ことのことのことの葉は葉ははもおほくもおほくもおおく侍はべ侍はべはべらんらんらん。。。のりのあさのりのあさのりのあさ日ひ日ひひによせてによせてによせて、、、たたたれも〳〵れも〳〵れもれも、、、なさけなさけなさけ多おほ多おほおおくおはしまさむくおはしまさむくおわしまさむ人ひと人ひとひとははは、、、もてあそばせたまもてあそばせたまもてあそばせたまはははんにつけてもんにつけてもんにつけても、、、心こころ心こころこころにしめてにしめてにしめて、、、おぼさむによりてもおぼさむによりてもおぼさむによりても、、、とぶらひとぶらひとぶらい聞き聞ききこえたまこえたまこえたまはははんぞんぞんぞ、、、いとゞいとゞいとど深ふか深ふかふかきちぎりなるべききちぎりなるべききちぎりなるべき」」」。。。などいひつゞけなどいひつゞけなどいいつづけ侍はべ侍はべはべるにるにるに、、、
  5. 5行ゆ行ゆゆくくく末すゑ末すゑすえももも忘わす忘わすわすれてれてれて、、、なほきかまほしくなほきかまほしくなおきかまほしく、、、なごりなごりなごり多おほ多おほおおくくく侍はべ侍はべはべりしかどもりしかどもりしかども、、、日ひ日ひひくれにしかばくれにしかばくれにしかば、、、たちたちたち別わか別わかわかれれれ侍はべ侍はべはべりにきりにきりにき。。。「「「いかでかいかでかいかでか又また又またまたあひあひあい奉たてまつ奉たてまつたてまつらんずるらんずるらんずる。。。來こ來ここんんん世よ世よよににに佛ほとけ佛ほとけほとけとなりてとなりてとなりて、、、これがやうにこれがやうにこれがように法ほふ法ほふほう說と說とときてきてきて、、、人々ひとびと人々ひとびとひとびとににに、、、聞き聞ききかせかせかせ奉たてまつ奉たてまつたてまつらばやらばやらばや」」」。。。
  6. 6などなどなど申まう申まうもうしゝこそしゝこそししこそ、、、たゞたゞただ人ひと人ひとひとともともとも覺おぼ覺おぼおぼえええ侍はべ侍はべはべらざりしからざりしからざりしか。。。そのそのその程ほど程ほどほどととと申まう申まうもうしゝところしゝところししところ、、、尋たづ尋たづたずねさせねさせねさせ侍はべ侍はべはべりしかどもりしかどもりしかども、、、えええ又また又またまたもあもあもあはははでなんでなんでなん。。。人ひと人ひとひとをををつけてつけてつけて、、、たしかにたしかにたしかに見み見みみおかせでとおかせでとおかせでと、、、悔くや悔くやくやしくのみおぼえてこそしくのみおぼえてこそしくのみおぼえてこそ、、、すぎてすぎてすぎて侍はべ侍はべはべれれれ。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

またそこにいた人が、「本当でしょうか。昔の人(紫式部)がお作りになった源氏物語に、それほど根拠もないことの優美で艶なことを書き集めなさったことによって、後世の(地獄の)煙とばかり消えていらっしゃるというのは、艶でまたとない(物語の)種ではあるけれども、つまらないことで、お弔い申し上げたく思います」などと言うと、(語り手の老女の)返事には、「本当に世の中ではそうばかり申しますが、道理をわきまえた人が申しましたのは、『大和でも唐土でも、文を作り、人の心を動かし、暗い心を導くのは常のことである。妄語などと言うべきではない。わが身にないことをあるような顔をして、本当らしく言って、人に悪い身をよいと思わせなどすることこそ、嘘などと言って罪を得ることである。これは仮構のことなどと言うべきだろうか。綺語とも雑穢語などとは言っても、それほど深い罪ではないのではないか。生きとし生けるものの命を奪い、ありとあらゆる人の宝を奪い取りなどする深い罪ある者も、奈落の底に沈むだろうが、どのような報いがあるなどと聞こえることもないのに、これ(物語作者が地獄に堕ちること)はかえって不審に思われるべきことであろう。人の心に(よいことを)気づかせることは、功徳となるはずである。情けをかけ、艶であることによっては、輪廻の業とはなっても、奈落に沈むほどのことがあるだろうか。この世のことさえ知りがたいけれど、唐土で白楽天と申した人は、七十巻の書物を作って、言葉を彩り、たとえを取って人の心を勧めなさったなどと聞こえるのも、文殊菩薩の化身と申すようだ。仏も譬喩経などといって、ないことを作り出されて説き置かれたのは、虚妄ではないというのである。女の御身でそれほどのことを作られたのは、ただ人ではいらっしゃらなかったのではないか。妙音・観音などと申す尊い菩薩たちが、女になられて法を説いて人を導かれるのである』」と言うと、供に連れていた童が聞いて言うには、「女になって導かれることは、浄徳夫人が帝(妙荘厳王)を導いて仏のもとに勧めなどなさり、勝鬘夫人が親に手紙を交わして仏をお褒め申し上げて世の末までも伝えなどなさったのこそ、普門(観音)の示現とも思われましょう。これは男女の艶なることを本当らしく書き集めて、人の心に染みつかせようと、情けばかりを尽くすことは、どうして尊い御法とも思えましょう」と言うと、(老女は)「本当にそうではあるけれど、事の様子が並々でないすばらしさのあまりに思い続けますと、物語などと言って一巻二巻の書物でもなく、六十帖などまでお作りになった書物が、少しも浮ついて不完全なところもなくて、今も昔も賞美してもてあそび、帝・后をはじめとして、何とも言えずすばらしく書き写して持たれて、御宝物となさったりするのも、世に類がない。また(紫式部が)罪深くいらっしゃると世に申し合うにつけても、かえって不審に思われて申すのです。罪深い様子をも示して、人に仏の御名をも唱えさせ、お弔い申し上げようとする人のために、導かれる端緒となるはずで、情けある心ばえを知らせて、憂き世に沈もうとする者をもよい道に引き入れて、世のはかないことを見せて、悪い道から出して仏道に進ませる方面もないはずはありません。その有様を思い続けますと、ある人(薫)は別れを悲しんで優婆塞の戒を保ち、ある人(宇治の大君)は女の潔い道を守って、(父の)戒めに違わずこの世を過ごしたりなさったのも、人が見習う心もあるでしょう。また帝のご寵愛が限りなく、またとない宿縁がおありだったのに、夢幻のように亡くなられた方(桐壺更衣)など、世のはかないことを、見る人は思い知るでしょう。また帝の位を捨てて弟に譲られて、西山の麓に住まわれた方(朱雀院)なども、仏道に入られる深い御法にも通う御有様です。提婆品に説かれた昔の帝(阿私仙に仕えた王)の御有様も思い出されなさいます。どうしてひたすら男女のことばかりでございましょう。だいたいは、智恵を離れては闇に迷う心を翻す道はない。迷いが深いことによって、憂き世の海の底知れないところに漂うのであると、世親菩薩のお作りになった書物の初めの方にもおっしゃっているので、物の心をわきまえ、悟りの道に向かって、仏の御法を広める種として、荒い言葉も柔らかい言葉も、第一義(真理)とかにも返し入れることこそ、仏の御志でしょう。このようには申しますが、濁りに染まない御法の言葉ではないので、露霜と結び置かれた言の葉も多くございましょう。御法の朝日に寄せて、誰も誰も、情け深くいらっしゃる人は、もてあそばれるにつけても、心に染めてお思いになるにつけても、お弔い申し上げなさることこそ、いっそう深い縁となるでしょう」などと言い続けましたので、

行く末も忘れて、なお聞きたく、名残多くございましたけれど、日が暮れてしまったので、別れてしまいました。(老女は)「どうしてまたお会い申し上げられましょう。来世に植木(菩提樹)のもとで仏となって、このように法を説いて、人々にお聞かせ申し上げたいものです」などと申しましたのこそ、ただ人とも思われませんでした。そのあたりと申した所を尋ねさせましたけれど、二度と会うこともできませんでした。人をつけて確かに見届けさせておかなかったことを、悔しくばかり思って過ごしております。

意訳

今鏡の最終章は、源氏物語をめぐる議論である。当時、紫式部は「狂言綺語」(作り話)で人を惑わせた罪によって地獄に堕ちたという説があり、その供養(源氏供養)も行われていた。章題の「作り物語の行方」は、作り物語(フィクション)とその作者の行く末を問うことを表す。

語り手の老女は、物語は妄語ではなく人の心を導くものであり、仏も譬喩によって法を説いたと弁護する。白楽天が文殊の化身とされたように、紫式部も観音などの化身ではないかとまで言う。供の童が「男女の艶事を書き集めるのが尊い法とは思えない」と反論すると、老女は源氏物語の中の出家や無常の描写を挙げ、物語が人を仏道に導く功徳を説く。院政期の文学観・物語観を示す重要な議論である。

最後に語り手(筆者)は、日が暮れて老女と別れ、「来世に仏となって法を説きたい」と言った老女の言葉に、ただ人ではないと感じる。再び会おうと探したが会えなかった、という余韻のある結びで、今鏡全十巻は閉じられる。

語釈・文法注

後の世のけぶりとのみ、消えたまふ
紫式部が作り話を書いた罪で地獄に堕ちたという説。院政期には紫式部の霊を救う「源氏供養」が行われた。
もしほ草かきあつめ
藻塩草を掻き集める(書き集める)。物語を書いたこと。
妄語
嘘をつくこと。仏教の十悪の一つ。
綺語
飾り立てた言葉。仏教では十悪の一つとされ、物語や和歌もこれにあたるとされた(狂言綺語)。
雜穢語
綺語と同じく、無益で汚れた言葉。
奈落
地獄。
輪廻の業
生死を繰り返す原因となる行い。
文珠の化身
白居易は文殊菩薩の化身とされた。
譬喩經
たとえ話によって教えを説く経典。
妙音觀音
妙音菩薩と観音菩薩。さまざまな姿に変身して衆生を救うとされる。
淨德夫人
法華経・妙荘厳王本事品で、夫の妙荘厳王を仏道に導いた夫人。
勝鬘夫人
勝鬘経の主人公。仏を讃え、教えを説いた王妃。
普門の示現
観音菩薩がさまざまな姿で現れること(法華経・普門品)。
優婆塞の戒
在家の男性信者が守る戒。源氏物語の薫や八の宮を指す。
西山の麓に
源氏物語の朱雀院が譲位後、西山の寺に住んだこと。
提婆品
法華経・提婆達多品。過去世で王が位を捨てて仙人に仕え、法華経を得た話がある。
世親菩薩
世親(ヴァスバンドゥ)。インドの仏教学者。
第一義
最高の真理。
うゑきのもと
菩提樹の下。仏が悟りを開いた所。

文法

奈落に沈む程のことやは侍らん
地獄に沈むほどのことがありましょうか、いやありません。反語。
たゞ人とも覺え侍らざりしか
普通の人とも思われなかった。

解説

今鏡の結びが源氏物語論であることは象徴的である。歴史物語もまた、ある意味での「作り物語」であり、その価値を問うことは、今鏡自身の存在意義を問うことでもあった。不思議な老女が去り、二度と会えないという結末は、『大鏡』の結びとも響き合っている。

関連

出典

底本
関根正直『今鏡新註』 六合館、昭和2年(1927)、416〜421頁(コマ223–225)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日